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働くルールを理解してこれからの働き方について考えよう!

正社員とはいったいどういう存在なのか?

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そもそも法律では雇用形態をどう規定しているのか

 日本には、正社員・準社員・契約社員・派遣社員・パートタイマー・アルバイト等、様々な名称の労働者がいます。しかし、法律的には名称の如何に問わず次の3つの基準で雇用形態を規定しています。

  1. 雇用期間の定めがあるか否か
  2. 一週間の所定労働時間が他の労働者と比較して短いか否か
  3. 直接雇用か間接雇用か

 1については、労働基準法14条に契約期間等についての細かい規定があります。雇用期間の定めがある場合は、契約社員という名称で言われることが多いです。

 2については、所定労働時間が短いほうの労働者は「パートタイム労働法」の適用を受けます。俗に、パートタイマーとかアルバイトという名称が使われますが、法律的には短時間労働者と言います。

 3において間接雇用とは、就業先の企業に直接雇われていない雇用形態を意味します。いわゆる派遣社員の人たちです。法律的には、「労働者派遣法」の適用を受けます。

 場合によっては上記の雇用形態が2つ以上重なることもあります。例えば、派遣社員かつ契約社員ということもありますし、パートタイマーかつ契約社員ということもあります。もちろんその逆の、雇用期間の定めのない派遣社員や雇用期間の定めのないパートタイマーもいます。この辺り、法律の規定と実際の名称とが入り組んでいて非常にややこしいのです。

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称の如何を問わず、上記1~3において自分がどういう状態にあるのか意識しながら働くと、非常に役に立つ場合があります。

正社員とは何か

 では、そもそも正社員とはいったいどういう人たちのことを言うのでしょうか。

  1. 雇用期間の定めが無い
  2. フルタイム
  3. 直接雇用である

  上記1~3の全てを満たす労働者のことを、正社員と言います。ここで、1の雇用期間の定めが無いとは、いわゆる終身雇用のことです。2のフルタイムとは、一週間の所定労働時間が他のいかなる労働者と比較しても長いということです。また、3の直接雇用とは、就業先の企業に直接雇われているという意味です。

そもそも非正社員が増加してきているのはなぜか

  「正社員」以外の人を全てひっくるめて「非正社員」とか「非正規社員」と言うことがあります。近年、非正規社員の比率が増えてきているのは良く知られていることです。平成27年の数字で、雇用者全体に対する非正規労働者の割合が37.5%、人数にして約2000万人です。

 理由は、バブル崩壊以降日本経済に陰りが見え始め、1~3全ての条件を満たす労働者を雇うことが難しくなったからです。別の言い方をすると、正社員だけでは大幅な景気変動があったときに雇用調整が図れなくなったからです。リーマンショックの時に、多くの非正規社員の人々が雇止めに遭うことで、大規模な雇用調整が図られたことは記憶に新しいですよね。

 このように正社員は安定しているように思えますが、果たしてそうなのでしょうか。 この問題を考えるには、正社員には上記1~3の他に別の特徴も併せ持っているということも考慮に入れなければなりません。この特徴は高度成長期から続く雇用調整の方法とも密接に関係しています。あくまでも雇用慣行に過ぎないので、成文法で規定されている訳ではありません。

 次回はこのことについて説明したいと思います。